インテージ 宮首賢治代表取締役社長インタビュー

マーケティングリサーチで、生活者と企業の思いを繋ぐ

インテージ
代表取締役社長
宮首 賢治(みやくび・けんじ)
 

1957年、広島県生まれ。愛媛大学卒業後、80年4月社会調査研究所(現・インテージ)入社。ソリューション本部長、営業本部営業企画部長などを歴任後、2007年、取締役に就任。常務取締役を経て11年より現職。
 
 
 


 わが国の市場調査事業のパイオニアにして、世界のマーケティングリサーチ企業トップ10にランクインしている“知る人ぞ知る”名門企業、インテージ。社会のネットワーク化の進展とともに、ネットリサーチの分野でも、新たなサービスを生み出し、順調に業績を拡大している。2011年に同社の舵取りを任された宮首賢治社長に、インテージの現在と今後の事業について語ってもらった。

──御社の業態についてご説明下さい。

 一言で言えば、当社は企業向けのマーケティングリサーチを中心とした総合情報サービス企業です。消費者と小売店、両方のパネル調査網を持っていることが当社の特徴であり、強みでもあると言えるのではないでしょうか。
 当社は1960年に市場調査の専門機関として創業して以来、マーケティングリサーチを中核に事業を拡大し、システムソリューション事業やヘルスケア領域の情報サービスを展開する、極めてユニークな企業グループへと成長しました。この間、様々な事業環境の変化にいち早く対応することによって常に業界をリードし、現在では売上金額において国内第1位、世界で第8位というポジションを獲得しています。

──御社の手掛ける市場調査とは、具体的にどのような内容なのでしょうか?

 大別すると「パネル調査」と「カスタムリサーチ」というサービスを展開しています。パネル調査は、調査対象となる人や店を長期間固定して継続的に調査することにより、時系列で市場動向を把握することができます。当社の「SCI-personal」(全国個人消費者パネル調査)は、全国の男女5万人の消費者購買データを捉えており、この種の調査としては日本最大規模です。ほかにも全国約5000店舗のスーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストアを対象として日々の販売動向を捉える「SRI」(小売店パネル調査)など、当社の市場調査は多岐に渡っています。これらの調査から得られたデータは、食品、日用雑貨品、化粧品、大衆薬メーカーなどのクライアント企業においてインデックスとして活用されています。
 カスタムリサーチというのは、お客様のマーケティング課題に基づきテーマごとに設計して調査する、カスタムメイドのリサーチのことです。当社ではインターネット調査をはじめ、従来型と呼ばれる郵送調査、訪問調査、グループインタビューや覆面調査など数多くの調査手法に対応しています。また、当社グループの中には専門性を問われるヘルスケア業界向けにサービスを特化したリサーチ会社もあります。
 当然、ただ単に調査して結果を提供するということではなく、そこにITを駆使して専門的な加工・分析を加え、クライアントにとって役に立つ情報にして提供しています。データをインフォメーションにし、インフォメーションをインテリジェンスにする。このサービスの姿を当社では「インテリジェンス・プロバイダー」と称しています。

──今後の成長戦略についてお話し下さい。

 当社では今後の成長に向けたキーワードとして、「モバイル」「グローバル」「ヘルスケア」を掲げています。
 「モバイル」については、NTTドコモとの合弁で設立した「ドコモ・インサイトマーケティング」を通じて、スマートフォン等、モバイルならではの機能を最大限に活用したリサーチやプロモーションなどの領域に挑戦しています。NTTドコモが保有する多様なアセットと当社が保有する企画・分析ノウハウを融合し、新たなリサーチ&マーケティング事業を構築しようという意欲的な取り組みです。
 いつでもどこでも使えるスマートフォンやタブレット端末の登場によって、新たな生活行動や購買行動が生まれています。また、発信される情報はSNSなどを介して集約される仕組みへと転換してきています。この潮流の変化を素早く正確に把握し、先取りしたアクションを打つことが不可欠です。そして、何よりも重要なことは、爆発的増殖を続ける情報の中から、「お客様にとって本当に必要なインサイトは何か」を抽出する“情報価値鑑定力”を磨き続けることだと考えています。

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──海外展開についてはいかがでしょう。

 アジア地域では経済成長が中長期的に見込めるため、日系企業の進出も顕著です。当社は1999年に中国へ進出して以降、タイ、ベトナム、インドへと事業を拡大してきました。今後はシンガポールへの現地法人設立を予定しています。実は、当社の全売上げのうち、海外売上げが占める割合はまだ10%に届きません。早期に10%を超えたいと思っていますが、すでにアジア地域では世界の調査会社のビッグ・プレイヤー5社がしのぎを削っています。世界の強豪との競争にいかにして勝ち抜いていくか。課題は山積していますが、当社にとっては大きなチャレンジだと考えています。

──市場調査会社でヘルスケアとは意外な気がするのですが。

 確かに投資家の方々からは「なぜマーケティングリサーチの会社がヘルスケア関連の事業をやっているのか」とよく聞かれます。そのあたりのことからご説明しましょう。
 当社が創業した際の最初の事業は一般用医薬品の販売動向を調査する、今でいう当社のSDI(全国一般用医薬品パネル調査)でした。つまり、成り立ちの時から製薬メーカーとのお付き合いがあったわけです。その後、調査事業拡大にともなって導入した大型汎用コンピュータの有効活用のため、インプット業務の受託を開始したのですが、そこから派生した形で製薬会社向けのデータマネジメント・解析業務を主体とした医薬品開発支援事業を開始しました。また、昨年には処方情報分析のリーディングカンパニーである医療情報総合研究所もグループ入りしています。
 ほかにも製薬メーカー向けの営業情報システムやMR活動支援システムといったシステムソリューションの提供や、先に述べたヘルスケア領域に特化したグループ会社もあります。このように、当社ではヘルスケア領域におけるさまざまなソリューションを保有しており、今後はこれをクライアント視点で体系化して、成長が期待できるヘルスケア市場において一気通貫したサービスを提供したいと考えています。

──最後に御社の1階ロビーに設置された大型モニター「アファンの窓」についてご説明を。

 「アファンの窓」は、当社がオフィシャルスポンサーを務めるアファンの森財団と共同で開発した長野県黒姫のアファンの森の様子をライブで配信するシステムで、2010年12月から秋葉原本社とグループ会社のインテージ長野で配信しています。自然の風景に接することで社員をはじめ、ご来社いただいたお客様が少しでも和むきっかけになればと考えています。

《編集後記》
 2月に東京国際フォーラムで開催された東証IRフェスタ。インテージのブースで見かけたニチレイの冷凍春巻きのパッケージには「市場シェアNo.1、インテージ調べ」の文字。日清食品がベトナムで売っているインスタント麺の袋にも同様。このインテージ調べというのが結構効いていた。食品メーカーがこうした表示をするのは、商品情報を“皮相的”に伝えたくないという狙いからであろう。
 市場調査では名実ともにナンバーワン企業のインテージ。世界でも8位というからその活動範囲は実に広い。
 同社のHPには「インテージはどんな会社?」の問いかけが。その答えは「企業や消費者のとってもなくてはならない会社」。理由は「生活者の声・思い・ニーズを的確にとらえ、企業や行政に伝える役目を担っている」から。
 宮首社長の話には、「日本の企業を縁の下で支えながら、自分たちも世界という場で活躍している」という自覚が感じられました。今年10月には持株会社化も予定。進化したインテージにお目にかかれるに違いありません。


(櫻井英明)

[ 会社概要 ]
社名:インテージ
市場:東証1部
コード:4326
設立年月日:1960年3月2日
上場年月日:2001年11月29日
決算月:3月

☆連結業績見込み(2013年3月期)
売上高●402.25億円
営業利益●31.30億円
経常利益●30.88億円
当期純利益●17.56億円

☆トピックス
 マーケティングリサーチ事業で国内最大手。137万人超のネットモニターを擁し、日本で唯一、消費・販売両方のパネル調査網を持つ。スマートフォンユーザー対象の調査サービスも新たにスタート。