G20、日米首脳会談が次の円安けん制イベント

海外からの円安批判を乗り越えるドル/円相場
ドル/円相場は朝方に1ドル=91.26円まで値位置を切り上げるも、足元ではやや調整圧力が強まり、90.60~90.70円水準での取引になっている。24日以降の急激なドル高・円安を受けて、短期筋のポジション調整が膨らんでいる模様だ。

週末には、欧州中央銀行(ECB)による3年物長期リファイナンスオペ(LTRO)の返済計画で銀行278行が1,372億ユーロを返済することが明らかになった。マーケットの想定していた返済計画を上回る規模であり、欧州債務問題が沈静化に向かっていることが改めて強く印象付けられる。加えて、1月独Ifo景況感指数は3ヶ月連続の上昇となっており、リスクオンの地合がユーロ/円相場のみならずドル/円相場も押し上げ易い地合にある。

ダボス会議では、メルケル独首相から「今の日本を見ていて全く懸念を感じないとは言えない」などと円安をけん制する発言も聞かれた。だが、まだ日本政府・日本銀行の脱デフレ政策に修正を迫るレベルにはないとの見方が強く、マーケットは比較的無難にこうした発言を消化している。

麻生財務相、甘利経済再生相がともに円安誘導批判に積極的に対応していることもあり、現状は「円安」ではなく「行き過ぎた円高是正」との政府認識に変化はないとの安心感がある。本日の安倍首相の所信表明演説に円相場が特に目立った反応を示さないなど、安倍発言のみで円が急落するステージは終わっている。ただ、このままリスクオンの地合が維持されるのであれば、ドル高・円安基調に修正を迫るのは難しいだろう。

この先は、2月15~16日のG20財務相・中央銀行総裁会議、その後の日米首脳会合という外交日程が最大のリスク要因になる。日米首脳会談に関しては、米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシートが過去最大の3兆ドル台に乗せたこともあり、積極的に日本の政策批判は行いづらい状況にある。ただ、先進国の量的緩和が新興国の不確実性を増しているとの見方に賛同する国も多いG20では、通貨安競争に対する批判が再燃する可能性もあるだけに、イベントリスクとして注意が必要だろう。そして、2月14日の日銀金融政策決定会合は追加緩和策の導入が難しいこともあり、再び日銀会合後にドルが反落するリスクにも注意が必要である。

ドル/円相場は目標価格の設定が困難な状況だが、それ以上にドル安・円高シナリオを描くのが難しい状況にある。早いタイミングで92~94円ゾーンまで値位置を切り上げる可能性も想定しておきたい。特に、米連邦公開市場委員会(FOMC)、米雇用統計で米金利上昇圧力が一段と強まると、値が飛ぶ可能性も想定している。

ドル建て金相場は、FOMCを前に調整色を強めているが、円建て金相場は1グラム=4,800~4,900円のレンジを維持している。プラチナ相場に至っては5,000円台乗せ目前の4,999円まで上値を切り上げている。ともに脱デフレ銘柄として、買われ易い地合が続く見通し。