<クローズアップ>=円安で日本回帰、国内観光地に脚光(1)

 昨年末からの急速な円安進行の影響を受けているのが旅行業界だ。これまで海外旅行をしていたユーザーは国内旅行にシフト、また外国人観光客も今回の円安で日本を旅行先に選ぶケースが今後一段と活発化しそうだ。まさに円安で〝日本回帰〟の状況。国内に強みを有する旅行大手や、主要観光地に関連する企業群に注目してみた。

 為替は昨年9月13日に1ドル77円09銭まで円高が進展したが、その後は年末の衆院選挙後に自民党が政権に復帰する過程で円安が急激に進行、今年に入って90円台に乗せている。これにより海外旅行の費用が増加しているが、為替と同時にWTI原油先物価格も昨年11月8日の84.51ドルを底に上昇、現状では95ドルを突破していることから、航空機利用時の燃油サーチャージ料金の引き上げも更に行われることが予想される。海外旅行におけるトータルコストが増加することにより、今後は国内旅行への関心が高まりそうだ。

 一方、2011年3月の東日本大震災と福島第一原発事故後に減少していた外国人旅行者はその後、回復傾向となっているが、現状の円安から旅行先に日本を選択するケースが増えそうだ。京都や鎌倉などの定番観光地に加えて東京でもスカイツリーなどの新名所が誕生している。尖閣諸島問題後に一時的に減少していた中国人観光客を含めて近隣のアジア諸国からも大都市圏への旅行者増が期待される。

 なお、日本政府観光局(JNTO)の発表によると2012年の訪日外国人旅行者数は対前年比34.6%増加の約837万人。震災のあった2011年の約622万人を大幅に上回り、全体として、ほぼ震災前の状況まで回復しているという。観光庁では、2013年は年間目標として1000万人を掲げ、訪日促進の取り組みを一層進める方針だ。この訪日客数は円高だった昨年のもの。急速な円安を考慮すれば、訪日客の増加に拍車がかかりそうだ。

出所:株経通信(株式会社みんかぶ)